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RT企画8 「ぬばたまの切月夜に」
保憲師匠と文姫のおはなしです。

 ↓

 

 今宵の京は静かだ。夜盗などの輩でさえ息をひそめているかのよう。
 勘解由小路に建つ邸もシンとしている。
 蔀戸を下ろし、御簾を下ろし、几帳を立てて、夜気を拒む。
 今夜は、月が影に喰われる日だ。
 その光を浴びると災厄に憑かれる。だから人々は住処に籠り、一夜をやり過ごす。
「……そうしてその夜から十月十日が経つころ、京のあちこちで産声があがるのだ」
「それは、なんとも納得のなりゆきね」
 巫覡(ふげき)の証たる朱のしるしに染めた目元を緩め、文子は笑う。
 仰向けに寝転がったその身体の胸元に頬をうずめて、保憲も寝転がっている。背の君たる彼いわく、とても安らぐのだという。甘えているとしか言いようがない。けれど文子もこうして保憲を抱きしめ、彼の顔や髪を撫でるのはとても好きだ。当代一の陰陽師と称され、藤家の信頼も厚き人物も、只の男女として過ごすときには互いの身も心も存分に委ねる。衣こそ互いにまとっているけれど、じわりと伝わるぬくもりと、かかる重みがなんともいとしい。
 指で耳をくすぐったり、枕とした胸をまさぐられたり、緋袴を穿いた脚で狩衣の腰をつついたりしながら、他愛もない言葉を交わす。そのまま熱が昂ぶれば、うちとける。けれど今宵は、微睡(まどろみ)がまさる。
「そういえば、大姫が言っていたわ。私はお父様のように素敵な殿方でなければ嫌、と」
「へえ?」
「お父様のようにすらりと背が高く、頭がよくて、抜け目がなくて、お父様とお母様のように仲睦まじい妹背となってくれる方でなければ絶対に嫌……ですって」
「歌がうまい、下手、ということはどうでもいいのかな」
「どうでもいいのじゃない? だって私の心を射止めたのも、詩歌の言霊なんかではなかったもの」
「では、私のどこがよかったのかな」
「そうね……強いて言えば、甘え上手なところかしら?」
「ひどいな」
 くすくすと笑って、保憲は文子の指先に口接けた。文子はもう一方の手で、彼のうなじを撫でる。
 そうして戯れあいながら、眠りの底に誘われてゆく。

 漆黒の夜からとろとろとこぼれ落ちた意識は、別な夜にたどり着く。

 

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 ランプの明かりが窓辺でチカチカと瞬く。
 天鵞絨のカーテンを閉めて夜気を断じると、ソファに座った女主人が声をかけてきた。手袋を脱いだその手には、葡萄酒を注いだ東洋調(シノワズリ)のゴーフレット。
「あなたもこちらに来て。ひとりで飲むのは味気ないわ」
「いいえ、文子様。私は未だ一日の務めを終えておりませんので」
「私が眠ったら、銀器を磨くの?」
「はい」
「そのようなこと、別の者にやらせておけばよいのに」
「いいえ。我が主の触れるものはすべて、私が管理する。それが執事というものでございます」
「ふうん。そう」
 黒いナイトローブを纏った女主人は拗ねたように、それでいて満足げに小さく息をつき、脚を組む。繻子織の衣の裾が割れて、白くすらりとした脛が室内履き(ミュール)の爪先とともにあらわになった。
「真面目かつ有能な執事がいることは、主人としても誇りだわ。明日も、その調子でお願いね」
「かしこまりました」
 フロックコートに身を包み、左目には銀鎖の単眼鏡(モノクル)をかけた執事は、窓辺で深々と一礼した。
 その彼を、女主人は黙って手招く。
 執事たる青年も黙って従い、そうして、ソファの前に立つ。
「今夜はもう寝るわ。脱がせて」
「はい」
 執事は短くうなずくと、その場にひざまずく。立てた膝頭に主の爪先を乗せると、まずはレース張りのミュールに唇を寄せた。踵に片手を添えてミュールを脱がせると、裸足の指ひとつひとつにキス。小指から順に、親指へ。最後の指は、爪と付け根をべろりと舐める。
 くすぐったがるように、ふ、と女主人は笑い、脚を組み直す。
 裾の乱れに構わず示された爪先に、執事はあらためて口接けて、脱がせたミュールをソファの足元で揃えた。そうしてから、主の脚に再度奉仕する。足の甲から足首、脛、膝頭。音を立てて口接けながら、手はその先へ。腿をなぞりあげた手は、ローブの結い紐をほどく。現われるのは、艶めかしい裸体。下着はつけず、薔薇の香水のみをまとった胸元や脇腹には、赤いしるしが点々と散っている。昨夜の名残りだ。
「本当にあなたって、手際のいいこと」
「私は、文子様の執事でございますから」
「いい返事ね」
 褒美とばかりに、女主人は葡萄酒を口移しで与える。空になったゴーフレットは執事が受け取り、マホガニーの円卓へ。酒の余韻を楽しむように舌を絡め合いながらも、手は動く。うなじへ、胸へ、腰へ、そのさらに下へ。お仕着せ服を釦ひとつ乱さず、主と愉しみ、歓ばせる。
 黒髪を首筋に貼りつけ、甘い吐息を切なげにこぼす女主人の媚態を知るのは、忠実なる執事のみ。
 ワルツを踊るように手を取って睦みあい、度々の快楽の波に溺れて気をやった主をソファからベッドへと運び、寝室のランプを消すまでが夜の務め。
 そうして階下に降り、銀食器の優美なカーブに女主人の肢体を重ね合わせながら磨き上げることが、彼のひそかな悦びだ。

 


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「……という夢を見たんだ」
 月陰りの翌朝、陰陽寮に出仕するための身支度をしながら、保憲が言う。
 それを手伝って冠の紐を結ぶ文子は、ふうん、と首を傾げた。
「なんとも不思議な夢ね。なんだか未知のことばかりでよくわからないけど、興味深いわ」
「そうだね」
「ええ。だから、邸に戻ったらまた話を聞かせて? その夢の中でのこと、再現してみたいわ」
 ふふふ、といたずらっぽく微笑む文子の頬に、保憲は了解とばかりに口接けた。
「どうぞお手柔らかに、文子様」



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執事ネタと、胸枕で寛いでる保憲師匠しか浮かばないんだけどどうしよう、と友達に相談したところ、もういっそ両方くっつけてしまえwwwwwということで、こうなりました。
持つべきものは、真夜中のおかしなテンションに付き合ってくれる同胞であります! 有難い!笑

ええと、つまるところ、すみません今回こんなノリで。orz

あと、文姫の胸はきっとGです。ばいーん。

 

Posted by 藤原眞莉 at 02:05 | ツイッタ企画 | -

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